(1)BCP( Business Continuity Plan)とは
事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)とは、事故災害が発生した場合に、重要な業務を停めない、あるいは許容される時間までに復旧させるための対策をまとめた計画です。
この計画には、事業継続を進めるための方針(事業継続方針)、事業を継続するための戦略(事業継続戦略)と実行計画、非常時の対応方法(非常時対応計画)、計画の維持管理方法(維持管理計画)が含まれます。また、計画策定を進めるための分析作業として、事業が停止した場合の影響を分析する「事業影響度分析(BIA:Business Inpact Analysis)」と事業活動を取り巻く各種リスクの影響を分析する「リスク分析」を行うことが求められています。
これらの内容をとりまとめたものが「事業継続計画」と言われています。
(2)背景
アメリカでは1950年代から情報システムのバックアップ等の災害復旧を進める対策が進められており、これら災害復旧の取組が「事業継続」へと進化してきました。
2001年に起きた米国同時多発テロ事件の際に、データのバックアップや代替拠点を確保していた企業が被災後に速やかに業務復旧ができたことを教訓に、米国の企業において事業継続の取組みが加速され、現在は米国の多数の企業が事業継続計画を策定していると言われています。
一方、国内では2005年度に経済産業省、内閣府が事業継続ガイドラインを、2006年には中小企業庁が中小企業BCP策定運用指針を公開する等、国においても事業継続計画に向けた積極的な情報提供を開始しています。
この数年では各都道府県レベルにおいてもBCPに関するセミナーを積極的に行ったり、独自のガイドラインの策定等を進めたりしており、全国的に事業継続の取組み関する動きが進められています。
(3)島根県内の現状
2009年5月に島根県内の中小企業に対して島根県が行ったアンケート調査によると、回答企業の282社の内、BCPを策定済みとした企業数は36社(12.8%)、「策定中」及び「策定予定あり」の企業数をあわせると、全体の約3割となりました。一方、「策定予定無し」「BCPを知らない」とした企業は約7割となり、県内における計画策定は今後の課題と言えます。

(4)BCPの必要性
- 事故・災害
従来にも増して近年は地震や水害等の自然災害の脅威が益々高まっています。一旦事故・災害が発生すると企業は経営的な被害を受けることになり、過去の例では地震発生により倒産に追い込まれる企業が多数見られています。加えて世界的には強毒性の新型インフルエンザ発生やテロ等、新しいリスクによる危険性にさらされるようになりました。さらに、現代社会は高度な情報システムに依存するようになったため、情報システムへのトラブルや停電が発生した場合には、社会活動に大きな影響が出るようになっています。
このように自然災害や事故等の危険性が高まっていること、さらに事故等の影響が広範囲に及ぶ可能性があることを念頭におくと、個々の企業・団体においてはそれらの影響を如何に最小化していうのか、という点は実は重要な経営課題であるという認識を持つことが必要と言えます。
- 企業活動の世界的な連携
近年、一つの事業は距離を問わず様々な企業と連携をしながら成立するようになっています。そのため、自社の事業活動が停止してしまうとその影響は一つの企業体にとどまらず、広範囲に及ぶ場合があります。他方、効率性を追及し、調達先の絞込んだ企業の場合は、原材料を調達している企業の事業が停止してしまうと、自社の事業も一緒に停止してしまう、という状態も見られています。
このように企業活動が世界的に連携している社会においては、自社の事業活動の停止は社会全体に影響を与える、ということを考慮していくことが必要です。
- 標準化の動き
2001年の同時多発テロを契機として、アメリカの8割程度の企業ではBCPの策定が進められていると言われています。また、米国、英国、シンガポール、オーストラリア、カナダ、イスラエル等の諸外国では既にBCPに関する各国の規格が整備されています。さらに、BCPに関するISO化の検討は進められており、早ければ2011年にも発行する見込みとなっています。それに先駆け2008年からは英国規格(BS25999-2)によるBCPに関する第三者認証制度が運用され始めています。このように世界レベルではBCPに関する標準化の動きが進められているところです。
一方、国内を見ると事業継続計画に関するガイドライン等が省庁や自治体、業界団体等で整備が進み、大手企業等ではそれらのガイドライン等を参考としながら、自主的にBCPの策定に取り組んでいます。また、国内でもBS25999による認証取得が進み始めており、この標準化の動きは国内にも波及していきそうです。
- BCPに関する社会的要請
事業停止が社会的に大きな影響を与えかねない大手企業では、CSRの観点からBCPの策定が進められています。国の調査結果では、BCPを策定した理由の多くに、「企業における社会的責任を果たすため」が挙げられていることかれも明らかです。加えて、上記(2)にもあるよう、BCPの取り組みは一企業でとどまることはできないため、大手企業の部品やサービスの供給元となる地方部の企業にもBCP策定が要請され始めています。
このようにBCP策定は社会的な要請として徐々に広がりつつあります。
以上のような理由で、BCPの必要性は高まっています。
